とにかく獅子の多い地域である。この小さな女川町だけでも十九もの獅子舞が伝承されている。浦々の集落ごとで、正月になると獅子舞を演じるのである。しかし津波はそのほとんどを流し去ってしまった。
けれどもこの小乗地区の獅子頭だけは、流失を免れることができたのである。このことは『儀礼文化ニュース』一八〇号にも既に書いているが、今回はその写真と共に紹介したい。
平成二十三年三月初旬、東京に発注していた新しい獅子頭と太鼓とが小乗に届いた。しかし若干ながら毛が薄いということで、古い獅子頭共々もう一度東京に送り返したのである。そして数日後に津波。新しい太鼓を始めすべての用具は流され、地区は壊滅した。けれども獅子頭だけは新旧共に残ったのである。
写真はその古い方の獅子。女川の獅子頭は地区毎にバラエティに富んでいる。「鹿耳」と呼ばれる大きな耳や、ミッキーマウスのような丸い耳を持ったものもいる。また目が極端な上目遣いをしたものもあって、とても興味深い。
現在、それらの流された獅子頭を復元作製することができるかどうか、支援が検討されているところである。「一度絶やしたら、やっぱり駄目だと思うんですよ」と教育委員会の平塚さんは語る。
流されなかった幸運な獅子頭も、仲間が戻ってくることを心待ちにしているに違いない。
