トップページ儀礼文化研究会令和元年度第2回

令和元年度第2回

モンゴル族の伝統音楽・歌謡”ホーリンウリゲル”の現代における保護と継承についての考察

発表者 東京学芸大学大学・博士後期課程 蒙古貞夫

 ホーリンウリゲルは、語り手“ホールチ”が、“ドウリボンウタスト・ホール”と呼ばれる弦楽器を伴奏楽器として自ら弾いて、長編英雄叙事詩を語る、モンゴルの伝統芸能である。主に内モンゴルの東部地区を中心に分布し継承されてきた。楽器は四弦から成り、胴・棹など木の部分は紫檀・龍眼、弦は絹で作られ、弓には馬の尾を使用するが、製作の時代的な変化もある。語られる英雄叙事詩や歴史小説は比喩や擬人法を駆使して、物語の情景をいきいきと聴衆に伝えるが、全てを語るのに一カ月前後を要する長編の物語である。本発表では、遼寧省の阜新モンゴル族自治県における、伝承者への調査に基づき、ホーリンウリゲルの継承の実態を明らかにした。現在阜新モンゴル族自治県では、中国全域における都市化する生活様式の中で、また、テレビやインターネットによる情報化の波を受け、ホーリンウリゲルの愛好者が急速に減少している。また、ホールチは高齢化により数が年々減少し、次世代の後継者が不足している状況にあり、継承が困難になっている。こうした危機的な現況や、中国の非物質文化遺産の保護政策を紹介しつつ、本伝統芸能の継承者でもある発表者自らの、未来へのホーリンウリゲルの継承について私見を提案した。​

中国南京市祠堂建築と儒教祭祀の伝承―宗族の年中行事・人生儀礼に焦点を当てて―

発表者 千葉大学大学院博士前期課程 李敏

 中国南京市江寧区佘村の「潘氏祠堂」における年中行事・人生儀礼等の伝承や特質を解明し、地域振興のための資源としての祠堂の活用の方法について考察した。
​  「潘氏祠堂」は、安徽省の建築様式の特徴を持つ“徽派建築”として2006年に南京市文化遺産に登録された。しかしながら、本祠堂における祭祀はじめ伝統文化は急速に消失しつつある。祠堂は、先祖祭祀のための建築で、かつて中国全域に見られたが、佘村における潘氏の祠堂は、地域の中心的な地位にあった。潘氏祠堂においては、冬至・新年をはじめとする年中行事や、誕生の際の点灯式、婚礼、葬礼等の主要な人生儀礼が行われ、当該地域の一年や一生の節目に重要な役割を果たしてきた。潘氏祠堂は、当該地域の成員や、家族全員の参与により、天・人・先祖が同一空間に住む“天人合一”の場と認識されてきた。それによって、人びとは、天や先祖の加護を受け、安寧・富貴で裕福な生活を享受してきたといえる。こうした役割を認識して、祠堂を単に伝統建築として残すだけでなく、年中行事・人生儀礼等の伝統文化をも活かした地域振興のための具体的な提案を今後、地域の人々ともに考えてゆきたい。​



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最終更新日:2020年3月17日
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