トップページ儀礼文化研究会平成30年度第1回

平成30年度第1回

「物語」の伝承における地域遺産制度の役割─遠野遺産認定制度と認定太宰府市民遺産を事例に─

発表者 筑波大学大学院人間総合科学研究科世界文化遺産学専攻 山川志典

 本発表は、近年文化遺産の保護で注目される「物語」に着目 し、その実態を把握し考察を行ったものである。まず、歴史文化 基本構想や日本遺産といった国の施策で「物語」(ストーリー性) が使用されている実態を確認した。次に、地方自治体が独自に取 組む文化遺産保護制度を「地域遺産制度」と定義し、そのうち2 つの事例を取りあげた。遠野遺産認定制度(遠野市)では、信仰 や由来譚に関する物語によって住民と結びついている対象が遺産と なり、認定太宰府市民遺産(太宰府市)では、複数の要素を物語 で結び1つの遺産として認定し、共有や保護・継承に取組んでいる 実態が明らかになった。
 質疑応答では、国の施策で使われる「物語」と各自治体や発表 者が想定する「物語」を同質のものとして扱うことの妥当性を問う 意見や、観光と文化の継承の関係に関する意見があった。文化遺 産の保護に関する行政と住民の活動について、継続して調査研究 していきたい。

湖南省の少数民族・花瑶族の伝統の服飾文化─儀礼との関わりに注目して─

発表者 千葉大学大学院博士課程 阮 将軍

 中国湖南省隆回県における花瑶族の伝統的服飾について、生 活・生業との関わりより、形態やデザインの特質についての考究を 行った。花瑶族の服飾には、日常生活のみならず、年中行事や人 生儀礼などの非日常生活において、自然や家族・集落共同体等の 社会との関わりを反映した意匠が濃厚に見られることを明らかにし た。女性の服飾は、葬儀において納棺されるなどし、死者の魂と ともに他界に送られるが、現実には自然に返される。このように田 畑、山・川等、自然からの恵みにより生活する花瑶族は、資源とな る自然を大切に保全してきたことを明らかにした。こうした伝統的 な生活は、都市的な生活の拡大により消失しつつある現状にある が、彼らの自然と結びついた生活の中から生み出され、集落の社 会秩序や死生観・自然観等の信仰・精神文化と密接に結びついた 価値の高い文化として保護や、未来に向けた継承による地域発展 をいかにすべきか、発表者が地域の人々と協働して行ってきた試み より、その方法についてさらに検討した。



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最終更新日:2019年6月25日
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