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平成27年度第1回

 今回の儀礼文化研究会では、中国の少数民族であるヤオ族の宗教儀礼に関する二つの研究発表が行われました。会のはじめには、ちょうど来日中であった中国湖南省のヤオ族の法師である趙金付氏にご挨拶いただきました。ヤオ族研究で成果を挙げておられる学芸大学の吉野晃先生や神奈川大学の廣田律子先 生も参加し、充実した研究会となりました。《7月26日(日)開催》

ヤオ族の招兵願儀礼―五穀兵と陰兵を招く方法をめぐって―

発表者 國學院大學教授 浅野春二

 中国湖南省藍山県のミエン系ヤオ族の行う「招兵願」儀礼では、遊離した「五穀兵(魂)」と「家先兵」を呼び戻すことを行う。「五穀兵」は、その家の穀物の収穫に影響を与える存在であり、その家の「五穀兵」が減ってしまうと穀物の減り方がなぜか早い、穀物が育たない、収穫量が減る等の悪い影響が生じる。「家先兵」は、その家の先祖たちが持っている「陰兵」であり、本来は先祖とともにいて先祖を守る存在である。これが減ってしまうと、いろいろな悪い影響があり、家にとって好ましくない事態が起こってくる。「招兵」では遊離した「五穀兵」と「家先兵」を呼び戻すのであるが、その方法は、病気治し等に見られる招魂儀礼との類似が指摘できる。「招兵」儀礼の場合は、病気治しの招魂のように人の身内に遊離した霊魂を戻すのではなく、家に遊離した「五穀兵」や「家先兵」を戻して鎮める形で行われる。家を人の身体のように考えれば、その方法は同じようなものとしてとらえることができるように思われる。

ヤオ族宗教儀礼の特徴について―還家願と度戒の文字資料を中心に―

発表者 筑波大学教授 丸山 宏

 本報告は、中国湖南省藍山県のミエン系ヤオ族の宗教儀礼の資料の中から、ヤオ族の宗教の特徴を探求する手がかりを提供すると考えられる意者書とよばれる、ヤオ族が創作した漢文文献を取り挙げて、事例を示し、また研究課題を整理しようと試みたものである。
 ヤオ族の宗教儀礼文献は、主に七字句からなる様々な用途の儀礼書、行政文書の体裁を取り入れ神々に差し出す文書、四字句を基調として儀礼にいたる経緯や趣旨を神々に伝える意者書などから構成される。意者書は、漢族の道教の疏意ないし意文に相当するジャンルであるが、ヤオ族の場合に、これが特に長大な内容を有しており、きわめて充実していることは特筆に値する。報告においては、神々に謝恩するための意者書に属する三座宝書、神々に法師が自己紹介するための御名意者などから、儀礼にいたる経緯、神々と契約した供物、儀礼のプログラムの要点が叙述されていることを提示した。また、意者書解読を基軸にして、儀礼実践との対照、他のジャンルの資料との関係、儀礼の種類および法師や依頼者ごとの異同、地方性の比較などが可能であることを述べた。



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最終更新日:2019年12月10日
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