―6月20日― | |
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つぶろさし
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佐渡薪能草刈神社「杜若」
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新潟県無形民俗文化財、子孫繁栄、五穀豊穣を祈る伝統の、大神楽「つぶろさし」のこっけいな芸能に初めて出会ったのは1969年。あっけらかんとした、陽気な面白さにびっくりした。何しろ、「島流し」や「金鉱山の重労働」など悲哀の島という、本からの記憶を引きずっていただけに、改めて島の大きさや、そこに生きてきた人々の、伝統芸能の多彩さに島のイメージを一新したものである。 色彩派手な着物姿の仮面の男が、足袋はだしで飛び出してくると、いきなり野球のバットほどの男子のシンボルを、自慢げに突きだし、辺りを見回しながら、さもいとおしげに片手でなで上げる。声をあげて笑う観客の表情を確かめるように、飛び跳ねては、もったいぶって同じ所作を繰り返す。聞けば、精力絶倫を自慢しているのだという。竹のササラを手にしたおかめ面が腰を振りながらつぶろさしにすり寄る。今一人、頭と顔をベールで覆い、手に鳴り物を持った人物も登場。笛、太鼓のはやしが入る。 四百年余の伝統がある羽茂祭りは、菅原神社、草刈神社の例祭である。それぞれの神社拝殿での神事、巫女舞に続いて、神輿の渡御を始め、十数人の氏子が胴の中へ入る大獅子、勇壮な鬼太鼓などの伝統芸能に加えて、近年は主婦ばかりの「かあちゃん太鼓」、若者たちの「若手連太鼓」、島伝統の「佐渡おけさ」やいろいろな手踊りなどで終日にぎわっている。 夕方、草刈神社の古い能舞台で薪能も演じられる。 上越市直江津港より船で小木港、そこからバス度津線・小木線「羽茂商工会前」下車、徒歩約3分
新潟県佐渡市羽茂 写真と文章:渡辺良正 |