―9月23~24日―
はだかの若者たちが神輿を担いで海へ入る「汐ふみ」(上)
夜、小学校校庭で神輿を寄せる(下)

勇壮な御輿と哀愁の調べ
海の幸に生きてきた人々の大漁祈願、海上安全を祈る秋祭り。午前
中、氏子町内を回った大原地区の神輿が正午ごろ大原漁港へ集合、神事が行われる。神輿群は、近くの太平洋に面した遠浅の海で「汐ふみ」。裸の若者たちが神輿担いで海へ入る。代表が沖へ向かって扇を振り上げながら歌う。
〜おらがちゃんだよ だいと(岬名)の沖で
まんまたくかよ けむ(煙)がでる……
漁に出たまま帰らぬ人々への供養の唄だ。一昔前まで沖漁は危険が多かった。
夜になると、小学校校庭に再び神輿が集まり、グランドを駆け、立ち止まり,神輿を寄せては
〜わけもんどんが 別れはつらい ヨイヨイ
会うて別れがなけりゃよい……
哀愁に満ちた調子で唱和する。漁に出たままもどらぬ男たちをしのぶ秋祭りである。
千葉県いすみ市大原
写真と文章:渡辺 良正