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まりも祭り

―10月9・10日―
阿寒湖 弓の舞
阿寒湖
こたん前の広場で行われる「弓の舞」
剣の舞とともに邪霊を祓う男の舞である
 アイヌの人々が北上してきた和人に追われて苦難の歴史をたどりながらも守り継いだ固有の伝統文化は貴重である。その多くが1984年に国の重要無形民俗文化財に指定され、また、今年はユネスコの文化遺産にも登録されると注目を浴びている。
 アイヌの人々は大自然のいたるところに神々の存在を認め、祭りを行い、様々な踊りを奉納する。まりも祭りもその一つである。マリモは、阿寒湖の底に眠る、天然記念物の丸い緑藻で、アイヌの人々は、悲恋の伝説をまりもに託してきた。そのまりもが存続の危険にさらされた時、祭りを通じて世論を喚起し、保存を願って始められ、今年で59回目になる。
 9日、アイヌコタンの祭壇で、イチャルバ「祖霊供養」の儀式が行われる。各地区から参加したアイヌの人々が、それぞれ固有の伝統の装束、かぶりもので、イナウを並べ、ヒゲベラと呼ぶ長い酒箸で祝言をのべる。
 夜、阿寒湖畔で沖からカヌーでやってくるまりもを松明の灯りで迎える。コタンの集落まで松明行列。こたん前の広場に祀り、邪霊を祓う「剣の舞」をはじめ、荒々しい男の舞や、歌と手拍子が楽しい、リズミカルな女性の集団舞踊が次々と披露される。
 10日午前10時頃、まりもを湖に返す儀式が始められる。アイヌの長老たちがまず、「酒ほめ」の儀で祭りに寄せられた酒を誉め、神々に捧げるところから始まる。三方に載せたまりもを持った長老を先頭にゆっくり阿寒湖畔へ行列、湖畔の広場で再び伝統の装束で様々な伝統舞踊が披露される。
 やがて、一隻のカヌーが漕ぎ出される。湖の底から浮かび上がり、三方に載ってアイヌの人々の集落を訪れ、祝福されたまりもは、再び湖の底に戻り、阿寒湖は昔ながらの平和な一年を刻むことになる。
釧路空港よりバス1時間20分/釧路駅よりバス2時間
北海道釧路市阿寒町阿寒湖畔
Text & Photo by 渡辺良正



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最終更新日:2008年11月28日
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