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椋神社の御田植神事



田の神の去来を彷彿

 埼玉県の西部、秩父盆地の南にそびえる武甲の峰に、未だ雪の跡が残る三月三日、秩父市蒔田の椋神社では、稲の豊作を予祝する御田植神事が行われる。御田植神事は、もう一箇所、四月四日に秩父神社でも行われるが、古くはどちらも陰暦二月三日に行われていた。
 社記によると日本武尊が東征の折に、武甲山から大己貴命の神勅により、穀種を取り懸けた矛を投げた。そして、矛の落ちた椋の大樹の本に大己貴命を斎祀り、穀種が散り蒔かれて豊かに稔ったことから、この地を蒔田と呼び、祭りの創始もこれに因むとされる。
 御田植神事は、境内を神田に見立て、さらに、参道には、藁を綯って作った龍を門にして、これを神田の水口に見立てている。  この神事は、水源の神、丹生神社に水を乞い、水口まで水を引き、苗代起こし・畦塗り・代掻き・肥料の刈敷まき・田ならし・坪割り・種蒔き、さらに同所を本田に見立てて、田起し・畦塗り・代掻き・刈敷まき・田ならし・田植までの作業を十二人の神部が演じてゆくものである。また、種蒔きでは、神部の代表である二名の作家老が、神種の入った笊を捧持して、先ず武甲山に向かって一拝し、振り向いて本殿に一拝する。まさに山の神を田に迎える田の神去来を彷彿させる場面がある。
 写真は、本田の代掻きの場面で、神馬二頭を神部が鼻取りして、威勢よく駆け巡らせる。かつては、この馬の毛並みで作占をしたという。因みに左手前の御幣が、丹生神社から引いてきた水をあらわす水麻である。
 秩父盆地では、この祭りを皮切りとして、春祭りが始まる。
秩父神社宮司 薗田稔

平成14年3月(124号)の1面の記事です。



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