トップページIndex両山寺の護法祭




両山寺の護法祭



つかまると三年以内に必ず死ぬ
そんな恐ろしい言い伝えをもつ祭りがある。岡山県美咲町二上山の両山寺で、八月十四日深夜に行われる「護法祭」である。護法善神を憑依させた「ごほう護法ざね実」(しじん尸人とも言う)が、御法楽と称して本堂前の闇の中を二十分ちかく走り回る。この時、護法実につかまると「三年以内に死ぬ」というのである。「よほどね、ゴーサマ(護法実)の足ひっかけたり、頭のしで紙手とったりしなければ大丈夫ですよ」と事前に説明いただいたが、それでも向かってこられると怯んでしまう。
両山寺の護法祭(写真:久保田裕道) しかし、その護法実と一緒に走っている子どもたちがいる。ケイゴと呼ばれる彼らは、護法実が出る直前に集められた中高生以下の男子だが、その役目は重要だ。まず、護法実役の者が神懸かりする際に、その周囲をぐるぐると激しく回って、トランス状態に陥らせる。その後、護法実が走り出すと、子どもたちも「ギャーテー、ギャーテー」と叫びながら後を追う。途中、護法実は決められた「休み石」で休むのだが、直に座ると憑依が落ちるといって、「腰取り」役の膝に腰掛ける。このとき子どもたちは、一斉に護法実の手足を揉みほぐすのである。
 単に警護というだけでなく、神懸りの状態を持続させる役目も担っていることは興味深い。この年、護法実は高齢の方だったが、憑依してからの走り方はすさまじく、終わる頃には、子どもたちは疲れ果てていた。こんな子どもたちの役割も存在するのである。

(岡山県美咲町二上山両山寺)
Text & Photo by Hiromichi Kubota

(平成19年9〜10月のトップページの記事です)



このページの上へ戻る
トップページへ戻る Indexへ戻る




一般社団法人儀礼文化学会  〒160-0012東京都新宿区南元町13-7
TEL 03-3355-4188WEB http://www.girei.jp/MAIL jimu@girei.jp